肩こり


最近微妙に肩が凝ってる。首の付け根から左肩にかけての不快な張りと痛み。これが肩こりか、と思う。自分の人生の中で、今まで一度も肩こりした事がなく、その感覚をわかっていないために、肩こりというのが一体どういうものなのか、よくわからない。会社で、肩こりに悩まされている人の話とかを聞いても、ふんふん大変ですねーと相槌はうつものの、実は何もわかってないし同情の気持ちも起こらない。なぜならその感覚が実感として理解できないからだ。美容院とかでマッサージしてもらうときも、まったくそういう事をしてもらう意味がわからないのだが、しかしとりあえず肩を揉まれたら、あぁーという顔をして如何にも気持ちよさそうな感じにするのが、大人の社会の決まりごとなのだろうと思って、そこは大人しくそのように、もっともらしい態度を取っているのである。さすがに、最低でもそのくらいの事は、これからもしていく気持ちを持ちあわせている。


でも最近、いま微妙に肩が凝ってると感じる。ということはつまり、これが肩こりなのか?と思う。しかし、何の確証もないのに、なぜそう言える?これが肩こりだと誰も認めてくれない。自分が自分の判断で、これが肩こりに違いないと判断しなければいけない。なので正直、いまだに自分の微妙に肩が凝ってる感じを、肩こりを称して良いのかどうか確信が持てないでいる。他の人はいったい何で、それが肩こりだという確証を得るに至ったのか?


たとえば最近だと、美容院とかでマッサージしてもらうときも、あぁー気持ちいいかも、と思う事がある。いや最近はほとんど、これはほんとうに気持ちいいなあ、と思っているかもしれない。しかし、それが本当に肩を揉んでもらっているときの気持ちよさと言えるのか、どうしても確信がもてないために、最後の最後のところで、いつも少し躊躇してしまい、結局はやや遠慮がちに、少しおどおどした挙動不審な態度で、あぁ気持ちいいなぁなどという心にもないような表情で、マッサージの心地よさにうっとりしている、という演技を演じているかのような状態になってしまい、肩こりとそれをもみほぐしてもらうときの気持ち良さそれ自体を支えている基盤が丸ごと脆くも揺らいでしまうのだ。