2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

庶事

安酒でも、美味いのはちゃんと美味い。勿論、べらぼうに美味いとは言いませんよ。でも、これで充分だろうと言いたいようなヤツはある。逆に、プルミエクリュだのグランクリュだのが、必ず美味いと思えるわけでもないとも思うがどうですかね。食べ物次第なと…

無人の風景

無人の風景というけれども、風景を見ているとき、自分もその場にいるのか否か。自分も風景の一部だという意識があるか否か。いや、そもそもそれを、無人であろうとなかろうと、風景だと思った時点で、視界と自分とは一旦切り離されると考えた方がいい。風景…

銀座の観世能楽堂で第二十四回能尚会。番組は舞囃子「高砂」、能「屋島」、狂言「惣八」、仕舞「花筐 狂」、能「乱」。 舞台とは抽象的な平面空間、という感じがある。京都の庭も、そんな感じがするけれども、そのように囲ってあることの不自然さというか、…

睡魔

食べ過ぎると午後眠くなるから、昼食は少ししか食べないのです。え!?君は、あんなに忙しいのに、いつ眠くなるのか?窓口対応をしているその人のデスク上の電話は、おそらく一日に数十回着信するのである。 ほぼ一日中、のべつまくなし電話で喋っているよう…

眠る

つり革に掴まったまま、眠って、ガクッとなる。 ホームで電車を待つときも、改札を出て時計の下で待ち合わせするときも、ふと眠ってしまう。 ガクッとなる。膝が折れて、元に戻す。抱えた鞄が、脇から腕からずり落ちそうになる。スマホが、手からすべり落ち…

明暗

傘を挿さなくてもあまり気にならないくらいの細かい雨粒が音も無く降っている。歩道橋を歩きながら見上げると、目の前に建つビルが雲に隠れて上の方が消えてしまっている。これほど巨大なのに、消えてしまうだなんて、一体どういうことだろうか。よくよく考…

後半を少し過ぎたあたりで

九十分の映画だとして、それが一時間を少し過ぎたくらいで、観ているもののテンションがふと緩んで、諸々がほどけはじめるようなときがないだろうか。そのとき観ているものが、今までの継続的な何かから少し外れた、そこだけ浮き上がって勝手な動きをしてい…

備忘

靴の修理がしたい。靴を買いたい。泳ぎ方を見直したい。いらない機器を売るか修理したい。鮨や行きたい。あと三週たったらもうお盆てちょっと信じられない。夜の六時四十五分の空が少し暗くなってきてかなしい

たまねぎ

もう新たまねぎの季節ではないので、普通のたまねぎだが、それでも二個分を千切りにして、少し水にさらす。カツオの刺身と、あとネギ、茗荷、生姜などを用意する。 カツオは美味い。というかもはや、たまねぎの方が美味い。たまねぎを食べるために、カツオが…

下北沢〜新代田

久しぶりの下北沢だが、何年ぶりに来たのかおぼえてない。それにしても、ものすごく若者な街である。駅周辺が、一個の学園祭みたいな感じである。というかむしろ学園祭というものが、こういう街の在りようを擬態しようとしているのかもしれない。若者っぽさ…

入力

Macのワイアレスキーボードを買ってから相当経つはず。五年前とか、いやもっと前かもしれない。iPhoneで使うつもりで買ったのだが、結局これまでぜんぜん使わないままだった。しかしいまiPadがあるので、使うなら今でしょと、ここぞとばかりに使うべきでしょ…

バジル

LED光でハーブとかを室内栽培できるやつでバジルを栽培していて、かなり育ってきたので摘み取って、するとまたすぐに生えてくるので、また摘み取って、それでもう既にマルゲリータ三回分くらい食べた。これが思いのほか、バジルの味と香りが鼻腔の奥のほうで…

食器

ワイングラスがふたたび割れた。洗ったグラスを拭きながらソファに座ったら、自分の膝にぽーんと当たって、そのまま脚がポキっと折れた。もうあまり、ショックは受けなかった。壊れたらまた買えばいい。何事も無かったかのように補充する。ぜんぜん気分は落…

占領下のパリの、レジスタンスや共産主義者たちとゲシュタポの攻防。血なまぐさい、気が重くなるようなことばかり起きて、でも休日が来て、バスケットに、ソーセージと冷たいトマトを切ったやつと、アルザスワインを入れて、恋人とピクニックに行った1944年…

吉田健一

シンポジウム「吉田健一と文学の未来」を聴講しに駒場東大前へ。駅からすぐ東大の校門になる。深い緑と、静かに立ち並ぶ校舎。閑散としていて、遠くを、のんびりと歩いている人や、建物の奥からかすかに聴こえてくる声。あとはセミの鳴き声。大学って…ほんと…

怪談

一日中家で過ごす。日中は、ラリー・コリンズ-ドミニク・ラピエール「パリは燃えているか?」、丹生谷貴志「死体は窓から投げ捨てよ」、稲垣足穂「ライト兄弟に始まる」など読む。シャワー浴びて、ビール飲んで、ご飯食べて、柴崎友香「かわうそ堀怪談見習い…

青い床の室内が描かれた壁紙

炎天。京成線。佐倉。太陽。川村記念美術館だが、暑い。死にそう。リキテンシュタイン「Mirror」。カッコいい。洗練の極み、これ以上かっこいい解答は、無理という感じ。そして暑い。館内は涼しい。すでに芯まで冷えきっている。外はあいかわらず、地獄の灼…

SIM

iphoneを機種変して早三ヶ月、割賦購入なので支払いはまだたくさん残っているが、世の中は一挙に格安SIMの時代へと突入したようで、周囲の人間が次々とMNPで転んでいく。これ以上ないくらい絶妙なタイミングで時代に取り残された感がある。これからも、あと…

玄関のドアを開けて歩き出すといきなり暑くて、歩きながら意識が少し薄くなっている気がする。31分発の京浜東北線。つり革に掴まって、音楽も聴かず、本も開かないで、窓の外を見ながらぼーっとする。なぜか、妙に気持ちがいい。ふわふわとした気分である。…

恋人

本を読んでいて、著者が語ろうとしているそのテーマやモティーフに対する、ものすごく熱い情熱というか固執を感じることはある。語ろうとしてるそれ自体はよくわからないけれども、語りたい情熱だけは伝わるみたいなことも、ある。この繰り返しには普通じゃ…

感覚

酒は怖い。体を蝕む。脳を壊す。百害あって一利なしだ。やめておくべき。という声にも頷きつつ、どうせ年老いる、どうせいつか呑めなくなるのだ、ならいまのうちに、呑めるうちに呑んでおけ、今、それを呑まなかったら、その一杯はもう二度とお前の目の前に…

こころ

こころ計測器を使って、毎朝、感情値を下記の分類項目毎に記録している。 ・こころ総量 こころの総量。多すぎると制御困難を招きやすい。少なすぎると維持困難を招きやすい。・水分量 こころに含まれる水分量。多すぎると統合神経失調気味になり、少なすぎる…

centennial

昨晩なぜかあまり眠れなかったために終日眠い。本を読みながらふと眠りに入って、それも長続きせずまたすぐ覚める、そのくりかえし。夜になって出掛ける。渋谷駅は相変わらず方向感覚がよくわからず、ヒカリエの出口から出て、増築に増築を重ねたような、階…

自己実現

演技力、それは力だ。それがあるというのは、すごいことだ。自分が、そういう能力が低いから、よけいにそう思うのかもしれない。 世間一般で云われるコミュニケーション能力というのも、演技力のことではないかと思う。要するに、自分の身体を使って、何かを…

干されて

一軒目はノンアルコールで二時間、僕は遅れて着いたので一時間弱だが、それだけでも飲まないでその場にいるというのはおそろしく長い。こういう時間を過ごすのははじめてに近い経験で、同席していたいつもの何人かも、いつまで経っても自分が素面であること…

抱擁

久しぶりの人が嬉しそうな表情で近づいきて、ぎゅっと抱きしめられた。相手は泥酔しているから、そういう振る舞いにまったく躊躇ないけれども、こちらはさすがに引く。しかし人に抱きしめられる感じって、こういう感じよね、と、懐かしいというか、人のぬく…

有名美人

たとえば、店に入ったら、偶然、有名なミュージシャンとか俳優がいたとか、自分とすごく近い場所に位置しているので話しかけてもあまり不自然ではないくらいだとか、そういうシチュエーションも、ごくたまにはあるとして、で、おお、有名人だ、すげえ、とか…

kcal

ラーメン。ラーメンって、要するに、麺を、旨味を思い切り強調したスープと一緒に食べる。という事である。たしかに、そりゃあ美味しいだろう。美味しいに決まっている。ただ、やっぱり、それだけのことだしなあ、とも思ってしまう。 そば、はどうか。麺をス…

TLC

横浜のジムが休館日。ならば、地元のジムに行くか。いやあ、面倒くさいな。しかしそのパターンも、一度は実施してみたい。つまり仕事が終わって、電車で最寄り駅まで戻ってきてから、そこで泳いで着替えて帰る、という流れ。会社を出て、そのまま家の傍まで…

ルーティン

行きたくないが仕方がないので都議会議員選挙の投票所に行った。 湯島で下りた。しのばずの池は蓮がピークを迎えている。この池の蓮って、ぜんぜん華やかでも何でもなくて、ただ濃厚な、鬱蒼とした、暗い湿り気のなかの生き物の生臭さ、みたいな、毎年そんな…