吉田健一


シンポジウム「吉田健一と文学の未来」を聴講しに駒場東大前へ。駅からすぐ東大の校門になる。深い緑と、静かに立ち並ぶ校舎。閑散としていて、遠くを、のんびりと歩いている人や、建物の奥からかすかに聴こえてくる声。あとはセミの鳴き声。大学って…ほんとうに、なんという天国的な場所だろうかと思う。ほとんど、夢の中の世界だ、信じられない、学生って、なんという優雅で贅沢な身分の人たちなのだろうか。などと思いながら、いまや僕も、コテコテにおっさん的なセリフを平然と思い浮かべるようになったものだとも思う。面白いイベントだった。英国という場所が、ほんとうに陰鬱で、娯楽もなくて、閉鎖的なヨーロッパ的な空間なのだというのは、なるほどそうなのだろうなあ、たしかにそうなのだろうなと思った。とくに柴崎友香さんの話はすごく面白くて、この話をそのまま活字にしてしまえばすごくユニークな吉田健一論というか、吉田健一をモチーフにした小説にもなってしまいそうだと思った。吉田健一、久々に読みたいかもしれない。が、あれを読むと、どうしても一定期間は完全に染まってしまうからなあ…。