自社で開発仕事してるのってどんな感じだろうか。僕も何十年か前はそんな部署にいたこともあったのだけど、今やもうすっかり、そんな仕事の仕方を忘れてしまったよ。久々に他所のオフィスを覗いたら、まるでコンビニのように煌々と明るい照明の下、真っ白い壁と机に、真っ黒なハイパワーマシンとでかい液晶を何枚も並べて、みんなドロッとした目つきで夜遅くまで仕事してる雰囲気はいつも通りという感じだったが、周辺に乱雑に置かれている様々な今どきっぽい物品が、ほとんどオフィス全体を子供部屋のようにしてしまっていて、あーまさに若者たちの仕事場だな…という感じだった。VR機器だのよくわからないハードウェアだのは、その手の開発仕事のためにあるんだろうけど、奥の壁際および机上にところせましと並べられているフィギュア象やらは完全に彼らのコレクション品だろう。朝わりと遅めに出社して、ひたすら仕事して、夜かなり遅く退社する毎日で、オフィスがどんどん学生宿舎の趣味部屋みたいになっていく、この感じだな。立ち並ぶフィギュアたちは、いずれもツルっとしたマットな表面に色とりどりの鮮やかな塗装が施されていて、優雅な曲線をまとった服の裾や髪の形状も見た目に楽しくて、そんなのがいっぱい並んでいるのは、たしかに心なごむものかもしれないな。人間の方はどうしたって避けようもなく汗や皮脂や他分泌物で次第に汚れてしまうものではあるけれどもな。