風呂

頭を洗いながら、ぼけーっと考えごとをしていて、ふとわれに返ったとき、自分が今シャンプーをしてるのか、リンスしてるのかが、わからなくなることが、わりと多い。自分の髪をさわって見ればわかりそうなものだが、それが意外と、わかりづらい。しかし、わかりづらいな…と思っているときは大抵、おそらくリンスまで終わっていることが多いのだ。それでも、確信がもてないまま、まあいいかと思って、再びリンスすることになる。再びリンスすると、ああこれ、絶対に二回目だな、とわかる。考えごとも度が過ぎると、そんなのもしょっちゅうだし、酷いときには、今日いつ風呂に入ったのか、それがわからない、その記憶がないことに、ふと気付くこともある。で、そのことに気付く場所が、風呂のなかだったりもする。つまり今、風呂に入っているのだけど、いつどうやってここまで来たのか、おぼえてないし、現状で、身体をどこまで洗浄したのかもわからない。ましてや今、頭髪をシャンプーで洗っているのかリンスで洗っているのかなんて、わかるわけがない。