CORNELIUS 2009

2009年に発売されたコーネリアスのライブDVD「SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW」を久々に見た。やってることは、ほぼ同じとも言えるのに、予想以上に最近のコーネリアスのライブから受けるのと違う印象を受けたし、最近と当時とどちらが良いかと言えば、このDVDで聴ける演奏の方が良いように感じた。アルバム「SENSUOUS」が発売されてから2年にわたって続いたツアーの国内最終公演から収録されているとのことで、熟成された演奏の安定感があるのだが、そうでありながら最近聴くことのできる演奏よりは、適度に高めなテンションというか、密度が本来のアルバムに近いくらいの細かさをもってるというか、演奏者たちが聴き取ってるだろう音単位の粒立ちが、より際立ってるというのか、とにかくより好ましい感じを受ける。おそらくこのあと何度も何度も演奏を重ねることで、ライブバンドとしてのコーネリアスが自らの楽曲を自身によって練り上げてきて今に至るのだと思うのだが、ここで聴ける音はその途中、もちろんこれを聴いていた当時の時点ですでに「ここまで熟成させたのか」という驚きをおぼえたものだが、そこからさらに十年以上の時を経たことで、このときでさえ、まだ途中だった、まだまだああゆる可能性の萌芽の段階ですらあったということに、時間の不思議さのようなものを感じる。もちろんまだ大野由美子は参加しておらず、ベースおよびコーラスが清水ひろたかであることも、今となれば、思わずはっとさせられるほどの新鮮さに感じられる。十四年前だから、誰もがそれなりに若くて、まだ皆が、お揃いの白いシャツを着てなかったし、この頃の小山田圭吾はまだ、サングラスをかけてなかった。