雪明り


数週間前から、自分が住んでいるマンションの、玄関ドアの上を照らしている照明が切れていて、そのフロアの玄関先の並びでウチの前だけやや薄暗くなっていた。しかし数日前に、おそらく管理会社が取り替えてくれたみたいで、気づいたら直っていた。


で、うちは玄関を入ってすぐ右手に洗面所と風呂場の脱衣所があって、玄関の脇に並ぶように曇りガラスの細長い窓があるのだが、あるとき風呂場の脱衣所からその窓を何気なく見たら、曇りガラスの向こうが夜の暗闇とは思えないほど、外から白く発光している感じに思えたので、うわ!雪かも!?と思って、慌てて玄関のドアを開けて外を見た。しかし、雪などまったく降っておらず、足元は黒々としたコンクリートの床面だけだった。


なぜ曇りガラスの向こうが白い雪明りのように明るかったのか?というと、要するに玄関ドアの上の照明が煌々と玄関周りを照らしていたからだった。その照明が点いているのが久しぶりだったので、照らされている明るさを雪明りと勘違いしたというだけの事だった。


…で、それから数週間が過ぎた。


今日は、雪が降った。曇りガラスの向こうが、いつものように白く発光しているようだった。先ほど玄関のドアを開けて、外を見てみたら、足元の床には、雪が1センチくらいふりつもっていて真っ白になっていた。


…だから今日は、これから眠ってしばらくしてから、早朝のまだ少し薄暗い時間に起きる事ができたら、カーテンを開けてみれば、きっと雪の白さでぼんやりと白く発光したような外の光線が真っ暗な部屋に入り込んできて、あたりをぼんやりと薄明るく照らすはずだ。