背中

図書館へ向かう途中、あまりの暑さに、これはもしかすると身体的に危険という予感をおぼえる。館内に着いてもまだ体内に熱がこもっているような気がして、これは既に、軽微な熱中症のかかり始めではないかと思う。軽い疲労感というかダルさにつきまとわれている。図書館を出て、いつもの喫茶店でコーヒーを飲んでるあいだも、ややぐったりして気持ちが萎えていた。駅に向かう途中、すっと背の高い若い男女カップルが僕らの前を歩いていて、後ろ姿の女性は髪を後ろでまとめて、肩紐に吊り下げられた黒いワンピースで、首筋から肩と背中が大きく剥き出しで、その真っ白な肌が全面でひかりを反射させていて、まるで誇らしげに自ら発光してるみたいだった。この炎天下とまともに対峙できるのは、ああいう若さだけだなと思った。