秋刀魚が二尾で690円と、さすがにまだ高価格、しかも大きさだって物足りないのだが、初物だし買っておこうと。そしたら意外に悪くなくて、ああ良かった立派な秋刀魚だったと思って満足した。もうこれで、しばらくのあいだ秋刀魚は食べなくても良い気さえした。いつのまにか、そんなに頻繁に食べたいものじゃなくなったのかもしれない。程よく忘れたころに、また。
玉ねぎのすばらしさは、もちろん加熱した状態にあるのだろう。単なるローストでも、天ぷらでももちろんのこと、煮込み料理のベースとすべく細かく刻んで飴色になるまで長時間じっくりと加熱するのでも、あの香りとこのうえない滋味をもたらしてくれる。
生のままの玉ねぎだって素晴らしい。薄切りでも、すりおろしでも、用途に応じて、目を見張るはたらきをする。ぼろぼろと涙を流しながら、包丁で玉ねぎを薄切りにするのがとても好きだ。よく居酒屋にあるオニオンスライスとか、あれはしっかりと洗って、玉ねぎの辛味や臭みを抜ききってあるのだが、わざわざあんなことしなくていいのに、切ったそのまま、できれば切った直後のもの、口に入れて辛味に悶えるくらいで、玉ねぎは丁度いいのにと思う。もちろんそれはカツオ刺の付け合わせにしたいからだけれども。
春先の新玉ねぎはもちろんだけど、そうでなくても玉ねぎは一年中いつでも美味しい。