2008-01-01から1年間の記事一覧

「蛇の道」

CS放送されたのを観る。おそらく5年ぶりくらいの再見。思ったよりも結構忘れていて、ほとんどはじめて観たのと同じくらいの感じで観た。 …なにも身に覚えがないのにいきなり監禁されたとしたら、自分は酷い目に遭う理由などまったく無いからおそらく人違いで…

レシピの有無

洗って水をきった生牡蠣に塩胡椒をふりかけてハーブミックスのパウダーをまぶして、フライパンを熱してバターを溶かして刻んだガーリックを炒めて、色が変わり香りが立ちこめて来たところにさっきの牡蠣を順々に並べていってしばらく炒め、火が通り全体の色…

「ピカソ展」を観る

乃木坂の新美術館〜サントリー美術館を回って、今回の展覧会では特に新美術館に出品されてる方に立体作品が大変多く、これらがどれも大変素晴らしいものであった。 たとえば超有名な、自転車のサドルとハンドル部分を組み合わせた「牛の頭部」の作品があるが…

貸レコード

僕の実家は、とある国道沿いの田舎ですが、僕が中学の頃なのでおそらく1985年前後に、駅前に貸レコード屋というものができて、そのことで当時はものすごく感動した。店内にLPが大量に並んでいて、どれでも300円とかで借りて良い、っていう話なのだから、これ…

公衆として

公衆トイレで大便をするときの気分について考えていたのだったが、なぜあのとき、あの瞬間だけは、何とも不安な、恐怖感に苛まれるかのような、無防備で頼りない気持ちになるのだろう?と思って、そのことを色々考えていて、とりあえずその理由として思いつ…

読書

小説は面白い、小説をもっと読みたい、という気分が高まっているので、なるべく小説を読む。これからしばらく意図的にそういう時間を増やして、短期間で小説を読む経験をなるべくたくさん重ねてしまいたい。…といったような考え方をするのが、昔からの僕の悪…

「Move Your Body: The Evolution of Chicago House」Marshall Jefferson

貧しさ。それは選択肢の無さであり、豊かさや奥行きを欠いた一本道の平板さである。ある行為に、そうではなかったいくつもの可能性が含まれていることを感じる、というとき、その行為自体を「豊か」と捉えるか「貧しい」と捉えるか、そこは常に微妙である。…

「世紀の発見」磯崎憲一郎

今発売中の「文藝(2008冬)」という雑誌に掲載されている小説。連休の最後の日を夕方から夜にかけて読む。これを読んだ事で、今日という日がもう、この小説にすべてささげてしまったような感じだ。今ぱらぱらと適当に読み返してみても、連続する強烈なイメー…

「Coast2coast」Ron Trent

秋の過ごしやすい気候が続く。たしかに雨も多いが、晴れると、光を受けた視界に入るすべてが大層うつくしく、また肌に触れる大気の感触も冷ややかに引き締まった好ましいもので、あぁ今、気持ちの良い季節の只中にいるのだなあと思う。もっと強く実感しない…

若者にように眠れ

最近は毎日大体、5時間〜5時間半くらい眠るような感じで、それ以下の睡眠だと翌日の日中が微妙にしんどいし、それ以上の睡眠時間を確保するには生活をもっと変えないといけない。なので、そういう睡眠時間のサイクルを繰り返している。でも先日はたまたま少…

「エル・スール」

これまでビクトル・エリセ作品は「ミツバチのささやき」と10ミニッツ・オールダーを観ただけで、あまり観たことがない。エル・スール」が今回上映されるということでついに観られると思って喜んで出かけたが、映画がはじまってしばらくは、そうか、こういう…

「こうのとり、たちずさんで」

結構、興奮した。率直に言って大変カッコイイ映画で、またすぐにでも再見したいくらいだ。いや、そう言ってしまう事を躊躇したくなるところもあり、そういう言葉の狭い視野の自分勝手さを感じたりもするのだが、しかし、訳知り顔でしかめ面の言葉を書けば良…

週末は映画など

いろいろバタバタしており、このブログも3日ほど空けてしまったので今日は(とりいそぎ簡単に)書く。土曜日は日比谷シャンテでアンゲロプロスの「こうのとり、たちずさんで」を観る。で、そのままちょっとみてみたかったクラブイベントに行って、そこで若干く…

キリモミ

忙しいような、忙しくないような、よくわからないここ数日です。華奢なプロペラ機がきりもみ状態で飛行してる感じ。一応飛んでるけど、天地も方向もはっきりしてない。でも墜落の危険は今のところないと思う。そういう状況で、今日は昨日よりも少しがんばっ…

「小説、世界の奏でる音楽」を読み始める

保坂和志「小説、世界の奏でる音楽」…まだ最初の数十頁くらいしか読んでない。本書に限らず、保坂和志の文章を読み進めるのは思ったより時間がかかる。この「思ったよりも」というところがミソで、一見さらーっと読み進めてしまえそうな雰囲気なのに、まとも…

願望の店

仕事の帰りに一杯だけでいいから呑みたいのだけど、あんまり本格的なバーとかは気後れがするしカウンターで独りでカッコつけてるみたいな状況になるのも嫌だし何より店の従業員と話をしなきゃならない雰囲気になるのが億劫でめんどくさい。でもそういう面倒…

トウキョウソナタ

恵比寿ガーデンシネマにて。これは素晴らしかった。最初の数シーンだけで、全身を戦慄が走った。ああこういう感じ久しぶりだなあと思った。観終わって、映画館を出てからもしばらくの間は深い余韻にいつまでも包まれて、あまり言葉を発することもできず、延…

Change

その行為に疑いがないから密度が高まるのである。半信半疑だと、密度というのはなかなかあがらないものだ。ただし半信半疑であることが悪いわけではないとも思うが。いずれにせよ、良いと思ったらとりあえず、そのままひとまず何も考えずにどんどん旅してし…

桜(4月)/瓦礫(9月)

フェルメールを観て

先週の土曜日はフェルメール展に行ってきたのである。思ったほどの混雑ではなかったが、でもやはりかなりの人である。とはいえ、ここ数年間の間だけで、現存するフェルメールの全作品のうち、我々日本人は何点を観ることができたのだろうか?それはもう、多…

過去作品再見

2007年に展示したときの作品を久々に引っ張り出してみたら、なんというか、これはもう予想ををはるかに超えて、驚くほどそれら過去の作品群が、自分には素晴らしいものに思えてしまい、その事に戸惑う。。これらは明らかに問題を含んでいるものという認識を…

「妻の心」

まさに成瀬の「夫婦もの」そのものであり、相変わらず、本当に気が滅入るような陰湿でじめじめとした、人間の身内同士が寄り集まって牽制し合っているときの、ほとんど鼻の奥を刺すような強烈な臭気が漂っていて思わず顔をしかめてしまうかのようなお話であ…

山田正亮を観て

方法が完璧に確立しているような、確定的な部分と揺らぎを含んだ不安定な部分とのバランスも、フレーム内において絶妙な案配で配置されていて、一画面上で絵画である事の素晴らしい拮抗と干渉が展開している。自信と安定感に満ちた、洗練されたスタイリッシ…

中西夏之を観て

弓型に反った竹が、その円弧を接するようにして画面に取り付けられており、画面内のイメージはあたかもその状態に強く反応し、磁力に反応した波紋のようにも見える、同じような取り組みで80年代につくられた作品が三点展示されていて、これらは僕としてはと…

ジャスパー・ジョーンズを観て

ジャスパー・ジョーンズは昔から好きな画家であった。大方の人がラウシェンバーグから受け取るのであろう感覚を、僕は高校生くらいのとき以来ジャスパー・ジョーンズから受け取っていたような気がする。もちろんラウシェンバーグも同時期に知ったはずなのだ…

キーファーを観たり岡崎乾二郎を観たり

鉛や毛髪といった素材を組み合わせた、物質そのものの迫力と物量のスケールで、誇大妄想がそのまま具現化したかのような勢いで観るものを圧倒すると共に、その内実の空虚さや構造の脆弱さ、ハリボテの頼りない感じをコワモテで覆い隠そうとしながら隠し切れ…

キーファーを観て

先週の土曜日に軽井沢セゾン現代美術館へ行ってきた。(良し悪しの印象ではなく)印象に残った作品といえば、キーファー、トゥオンブリ、中西夏之、ジャスパー・ジョーンズ、岡崎乾二郎、小林正人、中村一美、山田正亮といったところ。ずいぶん昔に買った所蔵…

大西順子トリオ(Blue Note東京)

青山Blue Noteで大西順子ライブ。相変わらずの感じであるが、でもHow High The Moonで演奏がじょじょに熱を帯びてきて回転数が上がり始めてトップギアにシフトチェンジされてからの、ピアノの右手がもう勢いに任せて畳み掛けるように旋律を駆け下りていくと…

Rhythm is Rhythm

Djは音を作り出す訳ではない。音は、自分と無関係に最初からそこにあるので、その音をとにかく無事であるように見守り、脱輪や混沌に至らないように必要に応じて一瞬だけ支えてあげたりするのがDjの仕事である。 Djとは、場になにかを付け加える事が仕事なの…

二箇所/ターンテーブル

ターンテーブルが2台ないし3台あるということ。一台のターンテーブルでレコードを再生して、フロアに音楽が溢れはじめたとしても、そのグルーブをどこまでも持続させるためには、少なくともターンテーブルがもう1台いる。そして、1台から再生される音と、も…