冬のコース


玄関を出ると晴天だが風が強く寒さが厳しい。荒川沿いを行き千住新橋を渡って図書館まで歩いたが、氷のようにつめたい風が皮膚を切るようだったし、突風的なやつに煽られて一瞬身体が浮かんで柵を越えてしまってまっさかさまに川へ落ちる、というイメージが橋の横断中に何度も去来した。館内に入って、とりあえず喫茶店で暖かい紅茶を飲んでもしばらく冷え切った手の感覚が戻らず、寒暖差で歯の表面が凍みるように傷んだ。一、二時間かそこらして上野まで行って何か美術館にでも、と思ってたらもう四時半過ぎで何も観る時間もなさそうだということでいつも通りお酒の世界へすたすたと向かう。ああこれほどのマンネリズムがあるだろうかと二人で顔を見合わせ嘆きあいながら。