2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「めし」

中北千枝子と原節子が並んで立っていると、二人が同じ人種の人間とはちょっと思えない。「美人」と「並」が並んでいるのとも、日本人っぽさと外国人みたいなアクの強い顔立ち、というのとも微妙に違う。全く別質なモノが並んでいる感じである。僕は実は原節…

機械の固有性あるいは私の個性

システムは定められた条件下であれば無理なくアクセスできるようなインターフェイスを備えているべきである。そうして、システムと人間の間にあるインターフェイスが限りなく滑らかになっていき、行く行くは人間とシステムの繋ぎ目がほとんど見えないような…

家に居ます(書く事が無い)

ブログに何か書いてアップしたいが、さしあたり書くことがないと、キーボードを前にしたまま色々考える。本棚で適当な本を適当に開いてネタを物色したり、日中に考えてた事を思い出そうと努めたり、観た映画の事や読みかけの本の事や、そういうのを一々全部…

LOW-TECH HIPPIES

ラップというのは、リズムにのせて言葉を矢継ぎ早にしゃべる技法である。もちろんこの手の技法は古来より様々な民族によって開発されてきたが、20世紀も終わろうとする頃になって、やはり黒人にかなわないことが明らかになった。単調なメロディーの繰り返…

金刀比羅宮 書院の美― 応挙・若冲・岸岱 ―

表題の展覧会を東京藝術大学大学美術館にて。伊藤若冲「花丸図」は縦30cm、横40cmの矩形内に様々な草花が描かれており、それが合計201枚、襖から床の間から壁からびっしりと整然と規則正しく並んでいる。若冲を観ていて思うのは、この画家は「神…

「賭博者」ドストエフスキー

賭博の良いところは、とりあえず5秒後に勝っていれば、それですべてがOKになる事である。今までの経緯とか現在の状態とか周囲の期待とかそういうのが、まるで関係なく、とりあえず勝利を呼び込めるか否か、にすべてが掛かっているのが良い。 賭け事は、毎…

開脚しながら宙に浮く子

知人Bが自転車で通勤の途中に、脇の路地から飛び込んできたバイクとぶつかりそうになったのだそうだ。いきなりバイクが視界に現れて、とっさに全力でブレーキングしている瞬間、時はものすごくゆっくりと流れ、その間、なぜか遥か昔の、Bがまだ小学生くら…

友人から電話があって色々話しているとき「そういえば耳の調子は大丈夫なの?」と言われて、一瞬、何の事?と思ったのだが、友人はたまにこのブログを見てくれているので、ここの記述を見てそのように心配してくれたらしい。確かに外耳炎になったのは事実だ…

「乱れる」「浮雲」/「斜陽」

成瀬の「乱れる」とか「浮雲」とかを観ていると、もうこれは、どう考えても太宰治の「斜陽」という小説作品を思い出さずにはいられなくなる。もちろんこれらのお話の表層には何の関連性も共通性も感じられないが、しかし完全に重なったひとつの問いを奥底で…

「浮雲」

1943年、フランス領仏印においてこの物語の主人公二人は出会う。1945年に日本無条件降伏。戦争の終結。役目が終わって、短い花の命が終わって、それまでの一切が滅びる。信じられてきたものとか賭けられてきたものとか共有してきたものとか、そうい…

Nebulize Me

耳の調子が悪くて耳鼻科に行ったら、外耳炎ですかね?ではちょっと見せて下さいと診療室で先生に言われて耳の中を覗き込まれた。そうしたらその先生が、出し抜けにまるで何かにとり付かれたかのように突然腰を浮かし、うわぁぁ、こぉ!これはひどい!!と叫…

上野のこと

上野のHMVが先月で無くなってしまったので、店頭での音楽購入の機会が益々減って来そうな状況。もう完全にウェブ購入しかしなくなるかも。だってポイントカードとかの仕組みもコロコロ変わるし、なんか店頭という場が本当に楽しくなくなってきた気がする…

「ウィークエンド」

ゴダールの「ウィークエンド」をDVDで観て超感動した。感動というか、まずとにかく面白すぎるし、かなり笑う。最初のエロ話が長くてうわーなんだよこれーと思ってたらその後すごい勢いになって、あんなに高揚した気分にさせられるのも久々であって、そう…

家に居ます(台風前夜)

台風は来るのか?不穏さが、今のところあまり無い。一応近くのスーパーでやけに沢山、買い溜めして来た。2〜3日冷蔵庫の中の物で楽しくやれる。ワイン一本買ったつもりだったのに間違えてスパークリングワインだった。夕食時に空けたらコルクが勢いよく照…

韻文と散文

7/8に書いた保坂和志の芸大講義の音声ファイルで一時間を過ぎたあたりで話されてる内容…「花であることでしか拮抗できない外部というものがなければならない」という言葉は美しい。何かクるものがある。でも「韻文」だと、こう言えちゃうけど「散文」だと、…

hatena star:none;

はてなスターというサービスが先日いきなりスタートして、このブログにもいきなり何かが付加されたみたいになって、ぱっと見て、脊髄反射的に「うへーかっこわりー!」と思ってしまい、直ちに情報検索して非表示にしてしまったのだが、基本的に、はてなとい…

uniqlock

人が「uniqlock」をこれはすごい!とかずっと見てしまう!とか言う時、どういうところをすごいと思っているのだろうか?それを知りたい。あのサウンドと小気味良いテンポの切り替わりと、生臭さが脱臭されてしまった人体の動きの混合具合がいいんだ、とか…、…

「噂の女」

去年の9月、恵比寿の溝口特集上映で観て強い衝撃を受けた「噂の女」を再度観る。久々に観た印象としては、思ってたより判りやすい構造だなあという事だった。ただし、和と洋であるとか、母と娘であるとか、家業と自由であるとか、男と女の生き方の違いであ…

娘・妻・母

まあ、さすがにお話がこういう題材だと相当不愉快になるというか気が滅入ってしまうので、最高もう一回観たい!とは思わなかったが、それでも確かな確信に満ちたリズム感覚で映画が進んでいく事の贅沢な快感は相変わらず強い。 この映画では原節子をたっぷり…

保坂和志05年芸大講義の音声ファイルを(今頃)聴く

保坂和志が2005年12月15日に「芸術の自由」と題して東京芸大で講義した内容の録音音声ファイルがローカルディスクに置いてあるのをたまたま発見した。2年前にダウンロードしただけで放置していたのだろう。今更のように繋がってたiPodに入れて、や…

「放浪記」

高峰秀子が林芙美子を演じる。背中を丸めた恐ろしくだらしない姿勢のまま、両の眉毛はハの字で真っ白に白粉を塗って、口をひん曲げて舌をべろっと出す。ほとんど喜劇役者の様相である。カフェの女給で大騒ぎするシーンが度々出てくるが、これも渾身の芝居で…

「Wild Thing」を演奏するJimi Hendrix

昔から、特に初期〜1968年頃までのジミヘンの映像が好きである。後期の深刻そうなジミを観てるより全然好きだ。ブラックプール公演とか、このへんの映像あたりを観てると、ジミ自身リラックスしてて楽しそうなのだが、嬉しそうな表情で真っ白な歯を見せ…

「Gloria」Jimi Hendrix (The Jimi Hendrix Experience 4CD Set)

ゼムのヴァン・モリソンやストーンズのミック・ジャガーは、歌い手としての能力…声質とか表現力としては、平均的な黒人R&B歌手の足元にも及ばないだろう。ミック・ジャガーなんか、ある意味では素人より下手かもしれない。しかし、だからこそ逆に、まとも…

マイ・バイブレーション

今月に入ってから異様に忙しい。いざという時の為に準備して蓄えておいた気持ちの余裕とか内面の許容量とかが目に見えて掬い取られて行く感じ。 何かのニュースで見たのだが、携帯電話が着信してないのに「着信してる!」と錯覚する人が多くなって来ているそ…

「The Last Waltz」

初めて観たのは学生のときだったから、十数年ぶりに見た事になる。学生の頃は、今ほどザ・バンドぼサウンドはわからなかった。というか、当時の自分にとってあんまり必要な音じゃなかった。1stアルバムがすごく良い事はさすがに感じたけど、なにせあのカン…

「女が階段を上るとき」と「乱れ雲」

「女が階段を上るとき」と「乱れ雲」それぞれ昨日観た。絶世の美女たちを観るのはこの世に生きている楽しみの中でも最上のものだ、という事を感じる。こうして連日、連続して成瀬巳喜男の作品を観ていると、美しい女性というのは、如何にして美しい女性たり…