初夢


昨日は食べすぎ呑みすぎでもはや活動不可能な感じだったので早く寝た。布団の中で肩から背中から、足のつま先にかけてまで、身体を一本の線みたいにまっすぐにして、真上を見上げて、そのまま目を瞑って、そのまま眠りに落ちるのを待っていた。頬の表面に感じる部屋の空気は冷たく重く沈滞しており、次第に布団の内側だけ温かみをもちはじめて、まるで半透明の薄い膜が身体の外側に張り始めたようだった。それからその次にふと気付いたときには、掛け布団の分厚い一番外側を足で後方に蹴って追いやってしまい、内側の薄い毛布だけにしっかりとくるまっている自分を見出した。部屋の冷気を薄い毛布だけがかろうじて遮断していたので、その手で毛布を掴んで引っ張ったときの、毛布の外側の冷たさと内側ぬくもりの差が、今おそらく真夜中か朝方だということを感じさせた。さっきまで身体に纏っていたはずの薄い膜は、もうとっくの昔に跡形もなく破れて消え去っていたが、かわりに自分の周囲のほぼ全域に、自分の身体から滲み出したかのような体温のひろがりが生じていて、左右どちらに寝返りをうってもかなりの範囲で自分の身体の延長にとどまっているような、まるでふやけた袋のように、だらっと水平に広がってしまった自分の身体の中で、自分の中身だけがごそごそ寝返っているかのようだった。しかしある一定の領域を越えて身体を移動させると、その先にはとても冷たい南極の大地みたいな荒涼とした地平のひろがりがあるので、あわててもとの場所に戻らざるを得ない。


それからまた眠った。そしてそのあと、初夢を見た。初夢を見るのはいつ以来か。もしかすると生まれてはじめてかもしれない。二種類の資料に関する夢。二種類の資料があって、それを編集して提出する必要がある。いたって簡単な仕事。ある領域に必要事項を記載して定められた箇所に嵌め込む。もう片方の資料もそれに準拠してまとめるだけ。ところが提出してから、その方法ではダメなんじゃないかと他方から指摘されてそんな筈ではないのだけどと思って一応確認しに行く。資料を再見して、一瞬あれ?と思ったけどよくよく考え直して、いややっぱりこれで良い筈だけど、と思い直す。