ローマの休日


土曜日の夜「ローマの休日」をDVDで。僕はこの映画、生まれてはじめて観ました。実に面白かった。未見の人にぜひお勧めしたい。まだ観てない人が、世界にあと何人残ってるのか知らないが。


大使館を抜け出して夜の路肩で眠りこけているヘプバーンは泥酔しているかのような体で、グレゴリー・ペックが偶然通り掛かり、タクシーの運転手との面白いやり取りを経て、成り行き上、彼のアパートに泊まることになる。


グレゴリー・ペックとヘプバーンの最初の出会いの場面。(そんな馬鹿な?と思うくらいの、ほとんど泥酔しているみたいなヘプバーンの眠り方、薬を飲んでいたから、みたいな事だったかも、だが。)タクシー運転手とのやり取り。アパートに着いてからの、着替え、ベッドと長椅子との交替の仕方。何もかも、すごくよく考えられていて、一つ一つが楽しい。


部屋を出て、一人で行動するヘプバーン。市場をうろついたり、花屋から花をもらって、そのまま持ち去ろうとして慌てて止められたり、そして、髪を切ったりする。映画で登場人物が途中で髪を切るって、なんとすばらしいことかと思う。ヘプバーン。見ていて、世間が言うほど素敵な女性という感じでもないかも、痩せてるし頬骨の稜線がキツめで鋭角的だし…むしろグレゴリー・ペックの表情の方が魅力的かも、、などと思っていたのだけれども、髪切られたらさすがにアウトだわ。さっぱり短い髪で、ジェラートを食って、グレゴリー・ペックに再会してからは、オープンテラスのカフェに行ってシャンパンを、そのあとベスパで街中を乗り回して、夜になったら美容師に誘われてた船上パーティーへ行って、もう一日中楽しいことばかりで、黒服団が王女様を取り返しに来るのをからくも逃れて、川を泳いでずぶぬれで向こう岸に渡った後で、ふいに、ふとキスシーンが訪れる。この感じも、たいへんよろしい。というか、こういう流れの、こういうテイストを久しぶりに味わった。


観終わって寝たら、数時間後に起こされた。朝の四時だか、五時だか、部屋に明りが点いていて世界陸上のテレビが光っていて、100メートルが決勝でザワザワとした音声が聴こえてくる。結果を見て、そのまま二度寝することなく起きてしまった。