DVDで


水曜日はサントリー美術館の後、恵比寿まで移動して「杉本博司ロスト・ヒューマン」展も観た。会場に入って、なんだこりゃ…となる。。こういう内装の居酒屋って、ありそうな感じ。


昨日の夜は市川崑細雪」をDVDで観始めたが、十分くらい見ただけで途中棄権した。市川崑っぽい変な色の照明というかわざとらしい明暗が今更ながら気持ち悪く、相当贅沢な感じの日本家屋とか家具調度品とかの美術だけを観るだけでもいいかと思ってテレビはつけっぱなしにして、結局ほとんど画面は観ず、ネットを見たりブログを書いたりする。


午前中はウディ・アレンについてのドキュメンタリー「映画と恋とウディ・アレン」をDVDで観る。三時間以上もあって、終わったら昼過ぎに。


杉本博司ウディ・アレン、とか、…作品作る人の、あるいは男の人の、難儀さというものを感じざるをえないというか、私ももちろん男ですけれども、…その、スタイルというか、やせ我慢を、最期まで続け通すということの困難さというか、もう充分に立派なんだから、そのまま黙っていれば何の問題もないはずなのに、それでも何か一言言わないでは立ち去ることもできないみたいな、意地みたいなものの厄介さ。それを抱えているのは苦しい。だがそれを失ったら、それはそれでもっと苦しい。結局じたばたするしかないのかという…。


本田猪四郎ゴジラ」をDVDで観る。1954年公開の第一作目である。じつははじめて観る。前半、最初にゴジラが上陸する大戸島の風景が、瓦屋根の夥しく連なるまさに五十年代の日本の漁村の景色でその迫力に圧される。ついにゴジラがその頭部を山々の頂きの向こうに見せる瞬間は、日中の光の下、出し抜けにべろんと、何も包み隠さず出て来るのがけっこういい感じで、…とか思って観ていたのだが、眠くなって途中で寝てしまって、東京を襲うシーンあたりからは記憶なし。


森崎東「喜劇 女は度胸」をDVDで観る。おお、素晴らしい…。「男はつらいよ」的イメージというか、あの世界の骨格をはっきりと感じさせながらも、渥美清という役者のポテンシャルが余すことなく発揮されているところや、労働者諸君の元気の良さや、女性たちの奔放な自由度や、親世代の良くも悪くも変わりようのない、揺ぎようの無い感じ(戦争時の記憶も含めて)や、親子喧嘩の動きのすごさ、そして何よりも60年代の羽田周辺の風景の、荒涼としていて何もない力強さにおいて、寅さんシリーズの全てに比較しても、本作は圧倒的ではないでしょうか。羽田空港の滑走路のすぐ脇の工場に勤めている主人公とその同僚たち、近くの工場に勤めていて寮暮らしのOLたち、放蕩的な兄と父親、黙っているばかりの母親。京急線で夜遊びに行ったり、フォーク喫茶で喋ったり、レコード屋で試聴したり、バーで飲んだり、今川焼き屋のオヤジを経由してコールガールを呼ぶとか、引っ越したアパートですき焼きの鍋をつついたり、すべてが楽しいのだが、なにしろその背景の、とくに工事現場とか安アパート周辺の荒涼とした感じに惚れ惚れする。お話しも、すごくきっちりとよく出来ているし、全体的に完成度高かった。