もろびとこぞりて


一年に一度のこの時期、横浜の高層ビルはライトアップのため一定時間だけ一斉にオフィス窓のブラインドを開けてビルの室内光を外に発して夜景をきれいにさせましょうというイベント協力を行うことになっていて、今年もガラガラとブラインドが巻き上げられたのだが、外から見てそれがキレイなのかどうかはともかく、向かい側のビルでもやはり同じようにブラインドが開いているので、ビル内にいると何かいの地上十メートルにもやはりこちらと同じようなオフィスがあって人間が働いているのが光の下で働いている光景の方をたいへん面白く感じる。まるでウェス・アンダーソンの映画みたいな建物のばっさり切り取った断面図に人がいっぱい詰まってるみたいな状態で、つい窓の外ばかり見てしまう。


父親が贈ってくれた貝柱が、クール宅急便で届いた。ふだんは父親に対してつっけんどんな態度に終始している僕も、このときばかりは心からのことば「ありがとうございます」をお伝えするために謹んで電話を差し上げる。冷酒、ワインそれぞれこの日のために冷蔵庫内5℃前後にてすでに控えて在る。今宵は刺身、明日は天ぷら、明後日以降はソテーにて供したまわん。もろびとこぞりてむかえまつれ、主はきませり。