Seventh Code

Amazon Prime Videoで黒沢清「Seventh Code」(2014年)を観た。まず始まりかたの唐突さに驚かされた。「旅のおわり世界のはじまり」でもそうだったけど、前田敦子って、やはりちょっと頭がおかしい人なんじゃないかと、映画であるにもかかわらず、本気で正気をうたがいたくなるような、かなり困った雰囲気をまとっているように感じられた。ウラジオストックのうら寂れた景色の中を、旅行用スーツケースを引っ張ってひたすら駆けずり回る前田敦子。お金を稼ぐ理由は力を得るため、レストランで知り合った女性のそんな言葉を、不思議そうな表情で受け止める前田敦子青い車が見えるやいなや一心不乱に追いかける前田敦子。いずれの姿も呆気に取られつつ見ているしかない。まったく別の映画と映画が、つぎはぎになっているかのようにも見えて、前田敦子という人の態度や振る舞いがまさにそういう感じで、ただしそれが面白い。なかなかカッコよくも見えるし、しかしどうもヘンな感じもする。前田敦子という人物、その全身像、身体があらわす妙な感じに付きまとわれているような。最初から最後まで、なにしろ色々とヘンなのだけれども、なんか久しぶりな面白さだった。、「Seventh Code 2」がもしありうるなら、ぜひ観たいと思ってしまう。

昨日観た「スパイの妻」では、映画内映画が非常に効果的に使われていて、双方が上手く響き合いながら終盤にいたるのだが、「Seventh Code」は映画内映画ではないけど、無理に混ざり合ったものが乱暴かつ強引にひとつの世界として貼りあわされてる感じで、その手つきはまるで違うのだが、どちらの主人公も鍵の番号をわかっているし、金庫から物を盗み出すし、最後は銃声が…。二つの映画からそんなポイントを思い起こしているのも面白い。