きのうだけど、夕方から【配信版】音楽談義vol.2(保坂和志、湯浅学、松村正人)を聴いていた。人が音楽の話(音楽家や聴き手や時代状況を含む)を、わりとゆるく話しているのを聞いているのは楽しい。たぶん三、四時間聴いてたけど、後半はずっと声をあげて笑い続けていた。これだけ笑ったのも久しぶりだった。
保坂和志が、ふだんはペーター・ブロッツマンとか、デレク・ベイリーとか、ポール・ラザフォードばっかり聴いていて、ビートルズは、べつに嫌いじゃないけど、ビートルズを聴くと、なぜか「後ろ向きな気分」になる。あの後ろ向きな感じ、あれこそが、ビートルズがあそこまで人気が出て、売れて、人々から受け入れられるということなんだろうけど…と語り、ポール・ラザフォードのCDがぎっしり入った箱を見せて、それを見た湯浅学と松村正人が、こんな人はたぶん世界に五人もいないとか言ってるのを聞いて、死ぬほど笑ってしまって、人が「逝ってる」音楽ばかり溜め込んで聴きまくってるという話を聞くとなぜこんなにも笑いを誘われるのだろうか…と不思議に思うけど、それはともかく、その言葉はまさに、いかにも保坂和志らしい、その「後ろ向きな気分」というのは、共感とかではないけど、すごく理解できるというか、腑に落ちる感覚がある気がする。これまでも保坂和志が、ひたすら妥協なく同じようなことを、何度も語っているからだと思うが。
長時間にわたって、ひたすら笑っていたけど、どんな話があったか、もはやほとんど思い出せない。ジャンピン・ジャック・フラッシュもいいけど、やっぱりストリート・ファイティング・マンがすごかったよね、とか、よくおぼえてないけど、そんな話をしてなかっただろうか。だとしたら、それは本当にそうだ。あれは本当にとんでもない。曲がカッコいいとかそういう次元ではなくて、ベガーズ・バンケットというあの世界の中で、あれで時空が変動してるからな。ああいうのは、ほんとうにすごい仕事、ああいうことが出来てしまっている時点で、ストーンズはすごい。ストーンズのそういう部分はまだ、ビートルズのようには解られていないとも言えるかもしれない。