なぜか"Tony! Toni! Toné!"の名前を思い出した。"Tony! Toni! Toné!"は、ぼくがまだ学生当時、やたらと流行ってたのだが、当時は聴いてなくて、何年かしてにベスト盤を買ったのだが、それもほぼ聴かず、さらに何十年も経って今に至る。。
聴いてみると、なぜこれまで聴かなかったのかと思うほど、じつに90年代らしい、自分がいかにも好きそうな音のテクスチャを備えていた。でも結局これは、自分の人生に縁がなかったのだ。
90年代というとき、往年の音楽懐古感の臆面もない引用という側面があって、それらは今聴くとそれなりに時代を経た感が感じられるのだけど、往年のソウル懐古がさらに経年変化するというのも変な話だが、それは劣化とかではなくて、このようなアプローチが今や至極当然になってしまった、誰も不思議に思わなくなった、というほうが正確だ(昨今のR&Bが90年代テイスト強めであるのも一因かもしれないが)。
逆に当時の方が、この手の音楽に対する反感は強かった。安直で考え無しな、屈託なき懐古趣味、いまどきの若者は…的でもあり、しかし作り手によって違う精度の確かさや可能性の幅は、耳の良いおじさんほどよく理解していたとも言えたし、まだ若者だった自分もそのような学習可能性をまだ信じてはいた。
しかしそんなことはもはやどうでも良くて、単純にいま、ふつうに聴いて楽しい。「House of Music」 (1996)は、まさにあの当時の記憶って感じだけど、いま聴くなら「Sons of Soul」(1993)の方がいい感じだ。まさにニュージャックスイング的なトラックメイキング、個人的にはこれがツボなので、R&Bはとくに90年代前半は良かったな。