2009-01-01から1年間の記事一覧

上野で名宝、家でペ・ドゥナ

上野で「皇室の名宝―日本美の華」に。大変な混雑。若冲の部屋は普通に観るのはちょっと無理な感じ。どの絵も上半分しか見えなかった。本館 特別1・2室の特集陳列、中国書画精華の作品群を観れたのがすごく良かった。何しろ13世紀とか書いてあるだけですごい…

鴨せいろ

いつものせいろではなく冬季限定の鴨せいろを注文した。鴨は久しぶりだったが、実にうまかった。しなやかで弾力のある、まるで血の塊のように濃い味の歯ごたえのある肉で、それを噛み砕き、染み出る旨みごと吸い尽くすようにして嚥下する。香り高く実に旨い…

My Favorite Things

「カンバセイション・ピース」を読み進めていて、ビートルズの箇所に来た。「やっぱりビートルズは自分が聴くものではないと思ったのだった」ということばがとても印象的。ビートルズに関する記述はその後もかなり長く詳細に続くが、しかしそれらは基本的に…

「カンバセイション・ピース」で、森中たちと花火大会の話が終わった後、夏休みに入って、最初に奈緒子姉が来て、奈緒子姉はあらわれたと同時に、というか小説で最初に出てきたときには、その場所に既にあらわれていて、もう浩介と高志を間違えたりするエピ…

シャンシャンシャン! ヘイッ! シャンシャンシャン! ヘイッ! シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン! WOOOOO ヘイッ!

保坂和志の新しい小説「未明の闘争」を読み、ある種の緊張を感じる。ある作品を、ことに新作と呼ばれて世に出たばかりの作品を読むとき特有の緊張、というのがある。とりあえず読み終えて、何はさておき次号が出るまでに「カンバセイション・ピース」を再読…

「The Visitor」

終日、家で読書したり音楽を聴いたりする。外はとても良い天気で、もう結構ですよと言いたくなる位さわやかで気持ちの良い気候だ。そしてキンモクセイの香りも、もういくらなんでもやり過ぎでは?と思わざるを得ないほど、かぐわしい。世界全体がトイレの芳…

「空気人形」「トウキョウソナタ」など

新宿バルト9で「空気人形」鑑賞。(本文中でネタばれしてるので注意)ペ・ドゥナの素晴らしい裸身を見ることができただけでも良かった、と思いたいところであるが、ちょっと色々抵抗を感じさせられる部分が多く、個人的には後味の悪さを胸に抱いて劇場を出た…

「ヴィヨンの妻」

映画「ヴィヨンの妻」をMOVIX亀有で観る。どうでもいいけどMOVIX系映画館の上映開始前の「映画ってたのしいなあーーこんな楽しいものほかにないよーー映画をみれば幸せひゃくばーい、みんなで観れば楽しさひゃくばーい、みんなで泣けば感動ひゃくばーーい…た…

綿矢りさ「蹴りたい背中」読了

読み始めて冒頭からかなり「すごい!」と思わされたまま、最後まで一気に読んでしまった。半日以上電車移動してた日だったために今日一日だけで読了。これは面白かった。ものすごく陰険で陰湿でほとほとウンザリするような、しかし表面上は異様に明るく笑顔…

綿矢りさ「インストール」読了

うーんなるほどーという感じ。もう一度読みたいか?と言われれば、うーん…という感じ。でも「良い小説」とは、こういうものなのだろうか。要するに僕が「良い小説」というものについてわかってない、ということなのか。…きっとそうなのだろうな、という感じ…

台風

台風が来ているなんて知らなかった。今から数時間前にはじめて知ったのだ。知った途端に、外の感じがそれ風に見えてくるから面白い。台風というのはまず、風と雨の音の騒がしさがあって、風というものそれ自体の、空気の波動以前として鼓膜に直接作用する原…

遺影

古い写真を見ているときの不思議さは面白い。自分が撮ったのだから、かつてその風景の中に自分も居た事は間違いないはずなのに、そのことがもう、まるで信じられない事のようになっている。そのような風景がこの世界にかつてあったことはかろうじて信じられ…

十二年前

この前実家に帰って、元自分の部屋を漁っていたら、1997年までバイトしていた店の写真が出てきた。97年で閉店すると決まって、記念に写真を撮って簡易現像キットでネガにしておいたのだが、そのまま焼き付けるのも忘れて、十二年間放置しておいたものを、先…

ものすごく久しぶりに、蛇をみた。仕事で埼玉の山奥にある製造工場の大変綺麗に整備された舗装道路を歩いていて、やはり綺麗に刈り込まれて太陽の日差しを浴びて鮮やかな黄緑色を輝かせている芝生の広がりの上を、まるで黒い絵の具がチューブから噴出するか…

悪魔の誘惑

40日の断食を終え、空腹を感じていたイエスの前に悪魔が現れ、神の子であるならば、石をパンに変えるよう命じたらどうだ、と問う。それに対して、イエスは「人はパンにのみ生きるのではない。エホバの口から出るすべてのことばによって生きなければならない…

指示

もうあかん、といいたくなるくらい忙しい…などと書くと如何にも大げさだ。じつは、そんなに言うほどでもない。さほどでもない。というか、どのくらい忙しいのかよくわからない。もう制御しきれてない。でも本当に制御しきれてなかったら、色々と問題になるの…

成瀬巳喜男「稲妻」をDVDで。

2年ぶりくらいの再見。しかし成瀬巳喜男を観る理由というのは、やはりよくわからない。なぜこんなに気分の滅入るようなベタベタとした鬱陶しいものを好き好んで観るのか。でも観た。やはり面白いと思った。でも前ほどはげしく興奮するような気分は沸き起こら…

Maurizio 4.5 Side B

再生を始めると、レコードの上に乗せたアームが、驚くべき速さで、ターンテーブル中央に向かって吸い寄せられていく。その動きと連動するかの如く、強烈なリフレインがフェード・インしてきて、そのまま数十秒繰り返したのち、次第にフェード・アウトしてゆ…

22℃ 曇り 風: 東 3 m/s

夏の暑さが徐々に薄らいでいって、もうずいぶん涼しい毎日になった。日によってはまだ汗ばむような強い日差しの日もあるが、しかし汗だくになるような事はなくなった。毎日毎日少しずつ涼しくなっていくことを、常に意識していようと思っているのだが、でも…

A Night To Remember

夜、この曲を必ず一度聴くのが日課になっている、という事に今気づいた。SideBの「A Night To Remember」の方。この11分は本当に良い。…というか、良い、みたいなはっきりした言い方ではなくて、とりあえずこれをかけておけば、それでなんとかなる、みたいな…

ワイン

連日秋晴れが続いていて、空気の冷たさがとても快適だ、といったような事を書こうとしていた。これを書いてる今も、開けている窓の向こうからかなり冷たい空気がゆっくりと流れ込んでくる。この時期の空気はあまり感情には訴えかけてこないが、物理的にはす…

金魚

水元公園に行って、金魚展示場があったのでそれを見たら、金魚相当キレイで見てて楽しいと思った。すごい畸形的なヤツラがいっぱい居て、これを可愛がる時点で相当病んでると思った。ぱっと見ですぐこれ若冲っぽいとか思った。尾ひれのヒラヒラとかが、完全…

草上の昼食

祝日の公園は沢山の人々でにぎわっていた。家族連れやカップルや、一人で昼寝したり読書したり、犬の散歩や、キャッチボールやサイクリングや何かを、皆思い思いに楽しんでいる。日差しが強く、木々の木陰にはいくつものピクニック用シートが敷かれ、その上…

場所

一日家でじっとしている。色々やろうと思うが全然上手くいかない。時間が過ぎ行くのをただ、眺めているだけ。久しぶりにビデオゲームなどをしてみる。下手なのですぐ死ぬが、しつこくしつこく、何度も挑戦して、たぶん一時間くらいは頑張った。失敗するたび…

「引込線」で利部志穂の作品

所沢ビエンナーレ「引込線」で利部志穂の作品を観た。これが良かったのでその感想を書く。(前に銀座のギャラリーで観てから一年ぶり?かそのくらい…、と思ったら、今確認したらたったの4ヶ月前だった) それにしても今日はとても良い天気だった。秋という季節…

「年を経た鰐の話」

家から歩いて10分くらいのところに図書館があるので、たまにそこに行く。先週は妻が一人で行って色々借りてきたようである。今日は朝起きて、その借りてきた本の中から「年を経た鰐の話」レオポール・ショヴォ(著)、山本夏彦(翻訳)、というのを読んだら、こ…

シンドラーのリスト

シンドラーのリストという映画は15年前くらいに一度見て、そのときはかなり不快な気分になり、最悪の映画だと思った記憶がある。数日前、たまたまCSで放送していたので久しぶりに(後半の一時間半だけ)観たのだが、まあ思ったよりも、それほどは悪くはない…

「ワラッテイイトモ」

古谷利裕さんの昨日の『ワラッテイイトモ』(K.K)についての日記には大変驚いた。あまりの驚きにわははははははははは!!と30秒くらい笑い続けてしまった。なんとまあ世界はこれほどまでに狭いのか、とも思ったが、いや、それはおそらく違う、世界は、決して…

「旅のあとさき[イタリア・エジプト編]」

福田和也の「旅のあとさき イタリア・エジプト編」をさきほど読了した。エジプトからミラノ、そしてローマへの旅。先週から今日にかけての数日間、この本を開いて読んでいるひとときだけが幸せで、それ以外のすべての時間は灰色の何でもない時間でしかなかっ…

訪問

駅前にはとってつけたような植え込みの植樹に彩られたロータリーと、その周囲に数台のタクシーと、チェーン店の喫茶店や居酒屋やコンビにやパチンコ屋があって、やけにだだっ広い舗装道路がかなり遠くまで伸びている。青い空に、電柱や電線の黒い線の行き来…